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16 どれをとっても超一級品 備 考
柴田 勲

法 政 二
(神奈川)
法政二の夏春連覇の立て役者で、投げても打っても走っても、そして守っても「どれをとっても超一級品」といわれたのが柴田勲である。当時の法政二は強力打線を兼ね備え、戦後最強の超高校級チームといわれた。

戦後最強の超高校級チーム
昭和35年夏、初戦の御所工(奈良)には全員安打の猛攻で14対3で大勝、2回戦以降は剛球・柴田とカーブ・加地の継投で4試合すべてをシャットアウト。浪商(大阪)との最初の対決を終盤8回の猛打で1年生エース尾崎行雄を攻略して4対0。さらに早稲田実(東京)に8対0、鹿島(佐賀)に6対0、決勝の静岡にも三塁を踏ませず3安打完封3対0と、圧倒的な強さで初優勝。神奈川県勢としては昭和24年の湘南以来の全国制覇である。この初優勝の中心選手は柴田をはじめ大半が2年生で、翌年春には控え投手に村上雅則(南海→SFジャイアンツ)を加えてさらにチーム力がパワーアップする。

▼昭和35年選手権大会・2回戦 (法政)柴田勲 (浪商)尾崎行雄
法政二 000 000 040=4
商 000 000 000=0

▼昭和35年選手権大会・決勝 (法政)柴田勲 (静岡)石田勝広
法政二 000 012 000=3
_岡 000 000 000=0
※法政二は初優勝。

事実上の決勝戦
36年春の初戦(2回戦)、前年度準優勝の北海から柴田が14奪三振、4対1で快勝すると、準々決勝は昨夏の雪辱に燃える怪童・尾崎行雄の浪商との事実上の決勝戦。下痢で不調だった柴田は2回金井に中越三塁打を打たれ先制を許すが、その後立ち直る。5回、法政二は幸運なイレギュラー安打で同点に追いつくと、ヒットエンドランに好走塁をからめて逆転に成功。7回にも球威のやや衰えた尾崎から関根が左翼線タイムリーし追加点を奪い、3対1で勝利した。

▼昭和36年選抜大会・準々決勝 (法政)柴田勲 (浪商)尾崎行雄
法政二 000 020 100=3
商 010 000 000=1

夏春連覇
その後、準決勝は平安(京都)を寄せつけず10対0の快勝、途中から控えの村上にマウンドを譲っている。決勝の高松商戦でも序盤で松下利夫投手を打ち込み3点、8回には安打で出塁した柴田自身が快足を生かした好走塁で追加点、投球も好調で5安打完封、夏春連覇を達成した。

▼昭和36年選抜大会・決勝 (法政)柴田勲 (高松)松下利夫
法政二 003 000 010=4
高松商 000 000 000=0
※法政二は初の選抜大会V(夏春連覇)。

尾崎との因縁の対決
3季目となった36年夏は、最強チームらしい圧倒的な強さで三たび頂点を目指し発進した。初戦の宇都宮学園(栃木)には中盤に大量得点を奪って9対1で快勝すると、2回戦は大社(島根)を完封(4対0)、準々決勝は報徳学園(兵庫)に9対1で大勝。準決勝で三たび因縁の対決、法政二・柴田 VS 尾崎・浪商。
法政二は初回、2死一塁からヒットエンドランを成功させ、左翼手の緩慢なプレイをみた一塁走者の柴田が一気にホームイン、1点を先制。凡プレイをした浪商の左翼手は1年生の高田繁だった。この試合をきっかけに精進し、のちに柴田とともにV9巨人の名外野手となっている。
法政二が4回に1点を追加、2点リードで柴田は8回まで浪商を1安打に抑える好投、史上初の夏春夏3連覇に向けて決勝進出はほぼ手中にしていた。ところが、柴田は9回2死一塁から住友・前田に連打されて満塁、尾崎に左前タイムリーを許して土壇場で同点に追いつかれてしまう。延長11回、尾崎の犠牲フライに併殺崩れで2点を失い、惜しくも敗退した。さすがの柴田も、のしかかる3連覇への重圧の前に冷静さを失い、最後は自分のピッチングができなかったのかも知れない。甲子園での柴田の連勝は12でストップした(通算12勝1敗)。

昭和36年選手権大会・準決勝 (浪商)尾崎行雄 (法政)柴田勲
商 000 000 002 02=4
法政二 100 100 000 00=2

甲子園での投手成績
大 会スコア対戦相手備 考
昭和34年夏1回戦●00-6_西____千葉-加地-柴田:3番手で登板1回1/3
昭和35年夏1回戦○14-3____先発勝利 (→救援加地)
2回戦04-0___完封勝利(1):3安打9奪三振
準々決勝08-0早 稲 田 実完封勝利(2):6安打11奪三振
準決勝06-0鹿___(先発加地→) 救援勝利、完封リレー
_03-0___完封勝利(3):3安打8奪三振 (初の全国制覇)
昭和36年春2回戦04-1___完投勝利:7安打14奪三振
準々決勝03-1___完投勝利:5安打8奪三振
準決勝◯10-1___先発勝利 (→救援村上)
_04-0__完封勝利(4):5安打8奪三振 (夏春連覇)
昭和36年夏1回戦09-1宇都宮学園完投勝利:5安打12奪三振
2回戦04-0___完封勝利(5):4安打10奪三振
準々決勝09-1報 徳 学 園先発勝利 (→救援内田)
準決勝02-4___完投:6安打6奪三振 (延長11回)
昭和34年夏=1回戦
昭和35年夏=優 勝
昭和36年春=優 勝
昭和36年夏=ベスト4

甲子園通算成績
 12勝1敗
 5完封
 選_抜4勝0敗
 選手権8勝1敗

巨人 (外野手)
2018安打、579盗塁
盗塁王6回
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