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14 奪三振の天才左腕 備 考
平古場昭二

浪 華 商
(大 阪)
戦後はじめて開催された選手権大会で、快速球を武器に4試合ですべて二桁奪三振を記録して、合計62奪三振。準決勝で選手権大会タイの1試合19奪三振を記録した名投手だったが、それでもプロには進まなかった。

開催中止の27回大会
昭和16年夏の27回大会は日中事変のため直前に開催中止となり、それ以後の5年間は第二次世界大戦で甲子園大会は開催されていない。中止となった27回大会の主な選手には、海草中・真田重蔵(のち朝日→太陽→松竹→阪神→明星監督)、岐阜商・大島信雄(のち松竹→名古屋)、滝川中・別所毅彦(のち南海→巨人)、滝川中・青田昇(のち巨人→阪急→大洋)、一宮中・真野常照(のち西鉄)、一宮中・林安夫(のち朝日)などがいた。

戦後はじめての選手権大会
そして昭和21年夏、戦後はじめての選手権大会は、甲子園球場ではなく阪急西宮球場で再開された。初戦(2回戦)で和歌山中の和中道男(のち阪急)を攻略して11対2で大勝。平古場は快刀乱麻の16奪三振を記録、2安打完投勝利でデビュー戦を飾っている。準々決勝では沼沢康一郎(のち毎日)のいた函館中も寄せつけず、成瀬との完封リレーで6対0の快勝、平古場はこの試合でも14奪三振を記録。さらに準決勝の東京高等師範付中戦では大会タイの19奪三振を記録、3安打完投の9対1で勝ち上がった。

▼昭和21年選手権大会・2回戦 (浪華)平古場昭二 (和歌)和中道男
__.211 220 030=11
和 歌 山 中.000 000 002=

▼昭和21年選手権大会・準決勝 (浪華)平古場昭二 (東京)若山、館、若山
___ 004 000 230=9
東京高師付中 000 000 010=1

浪商、初の夏全国制覇
迎えた決勝の京都二中戦が平古場・浪華商にとって唯一の接戦だった。京都二中の田丸道夫投手との投げ合いは、中盤5回まで互いに譲らず0対0。6回、浪華商は角屋のタイムリーで1点を先制し、8回にも相手エラーを絡めて1点を追加する。最終回も平古場が抑えて13奪三振の5安打完封。京都二中を2対0で下し、全国制覇を達成した。
快速球を武器に奪った三振の山は、4試合で62個を数えた。浪華商は、村松長太郎投手が野口二郎投手(中京商)に投げ勝った昭和12年春の選抜大会以来2回目、夏の選手権ははじめての優勝だった。

▼昭和21年選手権大会・決勝 (京都)田丸道夫 (浪華)平古場昭二
京 都 二 中.000 000 000=0
__.000 001 01X=2
※浪華商は初の選手権大会V。

甲子園での投手成績
大 会スコア対戦相手備 考
昭和21年夏2回戦○11-2和 歌 山 中完投勝利:2安打16奪三振
準々決勝06-0__平古場-成瀬 (完封リレー):2安打14奪三振
準決勝09-1東京高師付中_完投勝利:3安打19奪三振
_02-0京 都 二 中完封勝利(1):5安打13奪三振 (全国制覇)

浪商出身者
その後の浪華商は、昭和30年春を坂崎大明神の大活躍で制し、昭和34年に校名を浪商に変えて(現在は大体大浪商)、夏の選手権では昭和36年に怪童・尾崎行雄でふたたび全国の頂点に立っている。浪華商(浪商)で活躍した選手はプロ野球でも成功した例が多い。村松長太郎(セネタース→大洋)、坂崎一彦(巨人→東映)、張本勲(東映→巨人)、尾崎行雄(東映)、高田繁(巨人)、大熊忠義(阪急)、牛島和彦(中日→ロッテ)、香川伸行(南海)などである。

平古場昭二は慶大を経て鐘紡に入り、選手としてプロに進むことはなかったが、のちにプロ野球のパ・リーグで審判をつとめている。
昭和21年夏=優 勝
 (4試合62奪三振)
 (対和歌山中=16奪三振)
 (対函館中=14奪三振)
 (対東京高師付中=19奪三振)※
 ※選手権大会最多タイ
 (対京都二中=13奪三振)

甲子園通算成績
 4勝0敗
 1完封

慶大→鐘紡
パ・リーグ審判
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