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時刻はまもなく18時30分。かれこれ試合開始から2時間半が経過しようとしています。スコアボードには4回に仲良く1点ずつ、その後0が延々と並びます。甲子園のスコアボードは12回で表示は終わりです。この12回、果して決着はつくのでしょうか。
[12回表]星稜
夏風邪で昨日から40度近い高熱を出し、体調不良の箕島キャプテン上野山が鼻血を出したようです。この後のプレイに影響がなければよいのですが‥‥。この回、星稜の先頭5番堅田は二ゴロに倒れましたが、続く6番音は遊撃手上野の頭上を越す鮮やかな左前安打で出塁、1死一塁。しかも、今日2安打の7番山下を警戒して厳しいコースを突きすぎたのか、石井が12イニング目にして初の四球を許し、1死一二塁。《願ってもない好機だが、8番石黒、9番若狭は二人で6三振の無安打と当っていない。にもかかわらず山下監督は相変わらず強気の強攻。石黒への指示は「インコースのシュートは捨てて外の球を右へ狙え」》石黒は4球目を打って当たり損ねの二ゴロ。打球が緩くゲッツー(併殺)は無理だと思った瞬間、信じられない光景を目のあたりにします。二塁手キャプテンの上野山がこの打球をトンネル!「あーっ!」。バックアップした右翼手久保が二塁に返球したときには、二塁走者の音がホームイン、一塁走者の山下は三塁に進塁していました。延長12回表、タイムリーエラー。こんな形で勝ち越し点が入るとは‥‥。
均衡がついに破れました!延長12回表、星稜が1点を勝ち越して2−1!《なおも1死一三塁、打者は不振の9番若狭。当然、スクイズで追加点を狙うところだ》箕島内野陣はバックホームに備えて前進守備。若狭の3球目、またまた信じられないことが起きました。ベンチのサインはスクイズ、それを見破られて外し気味の球を若狭が空振り(当たってないとバントも当たらないか)。本塁突入してきた三塁走者山下が三本間に挟まれてタッチアウト。結局、若狭はこの日5打席連続(2回戦を含めると8打席連続)の三振に終わり、3アウトチェンジ。もう1点が欲しかった星稜ですが、とにかく勝ち越しました。
[12回ウラ]箕島
春センバツの覇者箕島も後がなくなりました。やはり春夏連覇は難しいんですね。12回ウラ“最後の攻撃”は、8番浦野が遊ゴロ、9番石井が捕ゴロで既に2死、走者なし。さあ、堅田投手、ベスト8進出まであと一人までこぎつけました。最後のバッターになるのか、1番嶋田が打席に向かいます。
おや、嶋田が打席に歩きかけて、一度ベンチに戻ります。尾藤監督と何か一言だけ交して、打席に入りました。堅田の第1球はカーブでボール球から入りました。第2球、これも変化球だが、やや甘いコース。嶋田は渾身のフルスイング。「打ったぁー!痛烈な打球がレフトに飛んでいく!」低い弾丸ライナーは伸びて「レフトの金戸が‥‥金戸が諦めたぁ」そのまま左翼ラッキーゾーンに飛び込んでしまった!「何ということか、奇跡が起きました!土壇場2死から、嶋田がまさか、まさかの起死回生・同点ホームラン!」
《打席に入る前の二人のやりとりはこうだった。嶋田「狙っていいですか?」尾藤「ヨーシ、狙っていけ!」である。これは本当の話だ。》2番宮本が二ゴロに倒れて3アウト、攻守交代です。試合は終わっていません。凄いことになってきました!

11回までは、淡々と回を重ねるどちらかというと退屈なゲームに過ぎませんでした。名勝負として語り継がれる「星稜×箕島」戦のドラマは、ここからが“本当の始まり”なのです。12回ウラの嶋田の一撃は「最初に起きた奇跡」でした。
※本文中の《青文字》ベンチの采配作戦の狙いをシミュレーションしています。
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